トランスフォーマー

マイケル・ベイ作品の中では珍しく、設定を生かしながらも続編への目配せも忘れていないのは、トランスフォーマーという素材自体が既に料理され尽くしてアイデアも豊富にあるからなのでしょうか。ド派手なアクションと物語的なカタルシスは他に類を見ない完成度です。ただ、ロボットが変形する必然性があまりないのが残念。物語でも映像でも、変形することの面白さをもっとアピールしてほしかったところです。
演出的には、CGIキャラクターがスローモーションで画面いっぱいに描かれても不自然でないというのが地味に驚きでした。SFXに興味のある人なら、この要素だけでも一見の価値があるのでは。俳優では、僕のお気に入りであるジョン・タトゥーロが情けない軍人役で存在感を出していたのが良かった。シャイア・ラブーフについては、ここまでスピルバーグが推す理由が分からないんですが、善良な若者っぽさが良いんでしょうか。
ベイ監督が前作『アイランド』の際のインタビューで「色々違ったジャンルに挑戦したい」と語っていたにも関わらず、今作はかつてないほど単純明快なポップコーン・ムービーでした。確かに彼にしか撮れない映画ですが、個人的には、もっと 男臭い映画を撮ってもらいたいところです。

監督:マイケル・ベイ
出演:シャイア・ラブーフ、ミーガン・フォックス、ジョシュ・デュアメル、ジョン・ヴォイト、ジョン・タトゥーロ

20110519 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -