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アマデウス

 モーツァルトの死を同時代の音楽家サリエリの視点から描いた舞台劇を、豪華に映画化した傑作。俳優も映像も文句なしのコスチュームプレイです。

 トム・ハルスの変則的なモーツァルトに初めは驚かされましたが、そのキャラクターと悲劇との対比が絶妙。”天才”モーツァルトに嫉妬しつつ憧れる”凡人”サリエリの葛藤は、分かり易いだけに観る者の心に強く響きます。当然ながら使われている楽曲もほとんどモーツァルトのもので、映画の評価と相まって、すっかりモーツァルトに傾倒してしまいました。
 トム・ハルスのエキセントリックな演技を正攻法で受け止めたF・マーレイ・エイブラハムは見事。プラハでオールロケしたという映像や、程よく生活感のある衣装なども美しい。ヨーゼフII世など貴族のいい加減さも物語に幅を持たせています。とにかく全てが豪華、かつリアリティを感じさせる納得の出来でした。

 2002年にはディレクターズ・カット版も公開されています。20分の追加映像は正直どこまで必要だったのか疑問ですが、この映画をドルビーの大スクリーンで観ることが出来たのは嬉しかった。定期的に上映して欲しい作品です。

監督:ミロス・フォアマン
原作:ピーター・シェイファー
出演:F・マーレイ・エイブラハム、トム・ハルス、エリザベス・ベリッジ、ロイ・ドートリス、サイモン・キャロウ、ジェフリー・ジョーンズ
20060312 | レビュー(評価別) > ★★★★ | - | -
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