★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
詳細な評価基準についてはこちら

天国の口、終りの楽園。

 アルフォンソ・キュアロン監督によるロードムービー。モノローグを多用したごく普通のロードムービーと思わせておいて、計算されたシナリオであることが見終わって分かる構成になっています。

 全編ハンドカメラでの不安定な映像で、数多のインディーズ映画のように地味になりそうでいて、メジャーに負けない画面の強さがありました。一度メジャー作品を経験している監督の強みなのでしょうか。現代の若者像がリアリティを持って描かれているのが新鮮。言葉で言うと簡単ですが、それが出来ている映画というのは初めて観たような気がします。
 ただ、性描写がかなりきついので、そういうのが駄目な人は遠慮しましょう。その辺や、ドラッグ関係を手加減しないあたり、個人的には好感が持てましたが。特にこの主人公たちの年頃って、セックスに対して非常に貪欲な時期で、それを直接的に描いたことがこの映画の功績の一つだと思うのです。そういう時期を経て次第に大人になっていく少年二人と、それに深く関わることになった一人の女性の、とても切ない物語でした。

 ロードムービーを観たことのない人に、特に観てほしい良質の作品。見終わったあとはコロナビールが飲みたくなること請け合いです。

監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル、ディエゴ・ルナ、マリベル・ヴェルドゥ
公式サイト
20051001 | レビュー(評価別) > ★★★★ | - | -
<< ヒューマンネイチュア :: main :: SURVIVE STYLE 5+ >>