★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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ガタカ

 脚本家としても活躍するアンドリュー・ニコルの監督デビュー作にして、SF映画史に残る傑作と誰もが口を揃える名作中の名作。遺伝子工学というSF的なフィーチャーを物語に巧みに盛り込みつつ、あくまで感動的なドラマに仕上げています。

 ここまでSFっぽいSF作品は映画界では珍しいほどなのに、ある青年の友情を描いた青春映画という爽やかさまで兼ね備えた物語が最高。映像や音楽も綺麗ですが、それすらこの映画を構成する要素の一つに過ぎない、と思えるほど。脚本が良く、そして演出も落ち着いていて物語をじっくり楽しめる、というだけで十分です。事実だけをさりげなく画面の一部に覗かせて、観客に推理させる画面作りにはただ驚嘆させられました。デザイン面でも、アルマーニの衣装やバルセロナチェアといった有名どころを採用しつつ、全体にモダンな雰囲気でまとめられていて好感が持てます。
 ちなみに、宇宙センターのロケ現場となった建築は建築家フランク・ロイド・ライトの作品 "Marine County Civic Center" です。流線型が印象的な吹き抜けから見える宇宙船の船影が、どんな台詞よりもこの物語の本質を上手く表現していると思いました。

 イーサン・ホークやジュード・ロウといったインディーズ系の人気俳優が主演なので敬遠しがちですが、騙されたと思ってまずは観て下さい。もちろん二人のファンには絶対にお薦めの作品です。

監督:アンドリュー・ニコル
出演:イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ、アラン・アーキン、アーネスト・ボーグナイン
20051229 | レビュー(評価別) > ★★★★ | - | -
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