★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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不思議惑星キン・ザ・ザ

 グルジア共和国出身のゲオルギー・ダネリア監督が撮った、シュールなSFファンタジー。一見するとただ冗長でくだらない内容ですが、その不思議な世界観がツボにはまると最高に楽しめます。

 まず絶対に飛びそうにない飛行物体に始まって、マッチが高級品だったり、変な挨拶や不思議な人種間差別が横行などなど、ツッコミどころ満載の設定が続出で笑えます。B級映画の雰囲気を漂わせつつ、しっかり独自の世界観を実現しているところも凄い。宇宙船や地下都市などのデザインも欧米の映画とはまた違った方向性で目を惹きました。ちょっとした風刺やSF映画としての後味の良さもあって、ただのチープなSF映画と捨て置くことのできない、実に奇妙な映画です。
 上映時間134分というのが最初は長く感じたのですが、二度目に観たときはあっという間に終わってしまって驚きました。退屈と思っていましたが、実はちょっとスローテンポなだけで無駄なシーンは一つもありません。シナリオ的なカタルシスは真面目なSF映画も顔負けの出来。何より物語から感じられる世界の広がりが、文字通り宇宙的規模の作り込みで圧倒されてしまいました。

 良くも悪くも、一度観たら忘れられない映画であることは確実。このセンスを面白いと思うかどうかで評価が一変すると思います。ミニシアター系映画を好き人なら必見。

監督:ゲオルギー・ダネリア
出演:スタニスラフ・リュブシン、エフゲニー・レオーノフ
20060101 | レビュー(評価別) > ★★★★ | - | -
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