★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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デリカテッセン

 ジャン=ピエール・ジュネとマルク・キャロのコンビによる、非常にブラックでユーモアに満ちた長編処女作。それまで映画に抱いていたイメージが、この作品によって根本から覆されました。それだけオリジナリティのある、希有な映画です。

 ここまで他の作品と共通点のない映画というものは初めて観ました。ファンタジーともSFともつかないダークな世界観に、メルヘンの味付けがされているのがツボ。ストーリー自体は平板なんですが、ラストには映画を見たという充実感が確実にあります。それに奇抜なキャラクターと会話のおかげで飽きることがありません。ダリウス・コンジによる、空気感を強調した撮影も新鮮です。
 あと、俳優陣も独創的。ドミニク・ピノンの顔は一度見たら忘れられませんが、この人を始め普通の面構えの人が一人も出ていません。しかも演技もジュネ監督の美学で統一されていて、本当に絵本のような魅力に溢れた映画でした。

 非常に良い映画なんですが、映像が暗すぎるのでテレビで観ると何が起きているのか分からないのが難と言えば難。なので、ぜひまたどこかで上映してくれないかなあ、と思っている作品です。コンビの次作である「ロスト・チルドレン」と一緒なら、それこそ毎日通ってしまいそう。

監督:ジャン=ピエール・ジュネ、マルク・キャロ
出演:ドミニク・ピノン、マリー=ロール・ドゥーニャ、ジャン=クロード・ドレフュス、ティッキー・オルガド
20051105 | レビュー(評価別) > ★★★★ | - | -
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