アタメ
特殊な愛の形を描いた、ペドロ・アルモドバルらしいラブストーリー。アントニオ・バンデラスの一途な変態ぶりが楽しめる異色作です。ストーカーに監禁された女性が、いつしかそのストーカーに心を寄せてしまう……という筋書きはありがちですが、それを細やかな心理描写で綴るのではなく、突飛な登場人物とユーモラスな映像感覚でねじ伏せていて、不思議と説得力がありました。まだ20代後半のバンデラスも、暴力的に描かれているものの、どこか子供っぽくて愛嬌すら感じるほど。エンニオ・モリコーネによる音楽もムーディーなんですが、逆に上品すぎたかもしれません。
もっと刺激的な内容を想像していましたが、比較的落ち着いて観られるもので安心しました。強烈なインセンスの香りのような、まったりとした高揚感があります。ただのエロスではなく、突き抜けたエロスという感じ。このアクの強さがアルモドバル監督作品の魅力なのでしょう。
監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ヴィクトリア・アブリル、アントニオ・バンデラス、ロレス・レオン

20051214 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -

変態映画を撮らせたら右に出るものはいないペドロ・アルモドバル監督による、何でも有りの恋愛群像劇。サスペンスの要素もありますが、そんな物語の細部なんか吹っ飛ばすセンスの良さが最大の魅力です。
江戸川乱歩の怪奇小説4編を、4人の監督でオムニバス映画化。大満足とはいきませんでしたが、意欲的な実験作の空気を味わえたことと、実相寺乱歩の新作を楽しめたのは良かった。
ジャン=クロード・フォレストによるコミックを元に、1967に制作された不条理SFの傑作。映画としては破綻しまくっているんですが、ここまで凄いとかえって全てが許せてしまいます。