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ビッグ・フィッシュ

 ダニエル・ウォレスによるファンタジー小説を、メルヘンの名手ティム・バートン監督が映画化。独特の悪趣味な世界こそ出てこないものの、おかげで非常に真っ当な感動作になりました。

 ティム・バートンの映画は、その童話的な語り口を良しとするかどうかで評価が分かれると思いますが、この作品は特にそう。とにかく冒頭から現実離れしたお伽噺の連続でメルヘン好きには堪りませんが、辛い人には辛いかも。でも、おそらくバートンの目にも(程度の差はあると思いますが)世界はこう見えているに違いないと思わせるほど「現実感のある非現実」が画面に溢れるのは圧巻で……しかし、それだけかと思っていたら、ラストのドラマでやられました。いい話です。
 ユアン・マクレガーの、絵本の世界を体現したような演技が素晴らしい。この人あっての、この作品でしょう。アルバート・フィニーのふてぶてしい演技も物語に説得力を持たせています。あとは例によってブシェミのかわいそうな役どころと、”サーミアン”ミッシー・パイルが登場していたことに笑わされました。映像もバートン映画の中では最高級。でも、全てがあまりに綺麗すぎて、ファンには少し物足りないかもしれません。

 今でも最後のカットを思い出すと泣けてきます。でも悲しい涙ではなくて、嬉しい涙なのが良い。夢物語は現実から逃げる手段かもしれないけど、それを全力で肯定する人生は、なんて素敵なんだろう、と実感できる作品でした。

監督:ティム・バートン
出演:ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ、ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム=カーター、スティーヴ・ブシェミ、ダニー・デヴィート
公式サイト
20050924 | レビュー(評価別) > ★★★★ | - | -
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