ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

アウトサイダーに対する偏見や差別を切り口にしつつ、描かれているテーマは非常にスタンダードで、観れば誰にでも判る明快な主張というのが面白い。主人公ヘドウィグは、外見こそ一般性から外れていますが、その感性はむしろ繊細で、赤裸々に綴られる彼の人生観はダイレクトに観客自身の理性を突き刺します。見方によっては陳腐にも思えるのでしょうが、それをロックに乗せて堂々と語りきっているところが潔く、その真摯な歌詞に思わず涙することもしばしば。映画の構成としては、巷間に溢れる”プロモーションビデオ映画”と何ら変わらないんですが、そこに強烈なテーマを介在させることで一気に映画的にするという手法も斬新でした。
ジョン・キャメロン・ミッチェルのヘドウィグは、それだけで映画史に残せそうなぐらいのカリスマ性で魅せてくれます。彼の生き様がひたすら美しく、辿り着いた観念的なラストも良い。「自分の片割れ探し」という題材で、この結論に行き着くのは僕の理想。文句なしの傑作です。

監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
出演:ジョン・キャメロン・ミッチェル、マイケル・ピット、ミリアム・ショア、スティーヴン・トラスク、アルバータ・ワトソン

20060306 | レビュー(評価別) > ★★★★ | - | -