ドーベルマン
日本アニメのファンというヤン・クーネン監督による、バイオレンス・アクションの秀作。あまりに過激なアクションは好き嫌いが別れそうですが、映像的に非常にレベルの高い作品でした。コミックをそのまま映像化したような単純バイオレンス・アクションで、ストーリーなんて存在しないも同然。過去の映画に比べると言葉足らずとも思えるほど状況説明を欠き、キャラクターの魅力だけでひっぱるシナリオは強烈すぎます。しかも繰り広げられるアクションは、知らずに観た人なら途中退場してもおかしくないほど冷酷無比。銀行強盗の主人公もかなりの悪人ですが、対する刑事が輪をかけて極悪なので、その容赦の無さにクラクラしてしまいました。
ただ、そこから生み出される映像が見事。冒頭の銃に関する演出など、観終わってから思わず人に話したくなるような映像の連続でした。粗の目立つ映像ではあるんですが、ここまでコミカルで斬新なカメラワークも珍しいのでは。映像の力が強すぎるせいか、物語の弱さが強調されてしまうのが惜しいんですが、それでも何度も観たくなるような魅力のある映画です。
主演は「アパートメント」など多数の共演作があるヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチ。”神父”ドミニク・ベテンフェルドや、刑事役のチェッキー・カリョの怪演も見所の一つ。過激な映像に堪える自信のある方はぜひ。
監督:ヤン・クーネン
原作:ジョエル・ホーサン
出演:ヴァンサン・カッセル、モニカ・ベルッチ、チェッキー・カリョ、ドミニク・ベテンフェルド

20060115 | レビュー(評価別) > ★★★ | - | -

ドリーム・ワークスの設立初期に制作されたSFナンセンスコメディ。公開当時はあまりの地味さにノーマークでしたが、観てみたらかなり凄い、というか観ていなかったことを後悔しました。
90年代のハリウッドSF映画の中では出色といえる、ロバート・ゼメキス監督のSF映画。原作は、NASA出身のカール・セーガンによるベストセラー小説。真摯なドラマが感動的で、現代SF映画のお手本のような作品です。
映画黎明期の巨匠フリッツ・ラングによる、SF映画の金字塔。無声映画時代の作品なので、現代のエンタテイメント作品に比べれば見劣りはするものの、未だに様々な模倣を生み出すほど魅力的なビジュアルと世界観は、映画好きなら避けては通れないものです。
ジョージ・オーウェルによって1949年に書かれたSF小説を、表題の1984年に映画化したという作品。ビッグ・ブラザーというリーダーの下に統制の敷かれた未来像が衝撃的でした。原作のテーマは様々な映画で応用されていますし、この映画自体、多数のオマージュを生み出したSF映画の隠れた名作です。
リドリー・スコットの名声を確実なものにした、SFサスペンスの傑作。80年代SF映画の最高峰のひとつで、荒廃した世界観とハードボイルド的な物語の組み合わせが見事です。
変態映画を撮らせたら右に出るものはいないペドロ・アルモドバル監督による、何でも有りの恋愛群像劇。サスペンスの要素もありますが、そんな物語の細部なんか吹っ飛ばすセンスの良さが最大の魅力です。
ロバート・ロドリゲス監督お得意のバイオレンスが満載の”エル・マリアッチ”シリーズ第三弾。今回は豪華キャストを揃え、アクションも多彩になって盛りだくさんの内容でした。
ウェールズ出身のクリストファー・マンガー監督が、出身地に伝わる逸話をもとに映画化したコメディ。”丘を登り、しかしながら山から降りてきた英国人”という意味の原題もユニークですが、内容もそれに負けないほど笑えて感動できる傑作でした。
台湾出身のアン・リー監督が、イギリスを代表する作家ジェーン・オースティンの「分別と多感」を映画化したラブ・ストーリー。典型的なコスチューム劇ですが、その良さを満遍なく盛り込んだ秀逸な作品でした。