★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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いつか晴れた日に

 台湾出身のアン・リー監督が、イギリスを代表する作家ジェーン・オースティンの「分別と多感」を映画化したラブ・ストーリー。典型的なコスチューム劇ですが、その良さを満遍なく盛り込んだ秀逸な作品でした。

 定石ながらも楽しめる脚本は、原作を主演のエマ・トンプソンが脚色したものでアカデミー脚色賞に輝いています。イギリスならではの、機知に富み皮肉のきいた台詞まわしと特徴的な登場人物がかなりツボでした。そしてあまり出てこないのに、圧倒的ないい人ぶりを発揮しているヒュー・グラントはファンなら必見。はにかみ顔とどもり口調が全開で、好きな人にはたまりません。ケイト・ウィンスレットとアラン・リックマンのカップルも微笑ましくて見応えがあります。観る前はどうせ恋愛映画なんてと馬鹿にしていましたが、観始めたら二つのカップルの悲喜こもごもにいちいち感情移入してしまいました。
 原作も読もうとしたんですが、そちらは人々の描写が濃すぎて断念しました。逆に、原作を諦めた人でも楽しめる映画になっているということでしょう。原作のエッセンスは生きているので、深読みして家族のあり方とか人間の尊厳とかを考えることもできますが、単純に恋愛映画として突出した作品でした。

監督:アン・リー
原作:ジェーン・オースティン
出演:エマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレット、ヒュー・グラント、アラン・リックマン
20051204 | レビュー(評価別) > ★★★ | comments (2) | trackbacks (1)
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Comments

はじめまして。台湾出身のアン・リー監督はもちろん、すごい人ですが、「SAYURI」も中国系美女の競演で、にぎやか。中国・台湾系の映画人の活躍が目立ちます。
京野菜 :: 20051214 14:33
はじめまして
トラックバック有り難うございました〜。アン・リー監督は良いですね。台湾映画の空気は日本人の肌に合うような気がします。「SAYURI」も凄そうですが、こういう映画に日本人俳優があまり登場しないという現実が辛いですね……。
kentaro :: 20051215 2:00

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Trackbacks

不治の病?SAYURI病〜そしてアン・リー監督のこと :: 万歳!映画パラダイス〜京都ほろ酔い日記(20051214 14:31)
 「SAYURI病」が治らない。21世紀のサユリストになってしまったようだ。アーサー・ゴールデンという人の原作本「さゆり」(文春文庫、上下)も買ってきた。これが非常に面白い。もとの京言葉、花街言葉を再現しているから、映画とはまた違った楽しみ方ができる。米