★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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キカ

 変態映画を撮らせたら右に出るものはいないペドロ・アルモドバル監督による、何でも有りの恋愛群像劇。サスペンスの要素もありますが、そんな物語の細部なんか吹っ飛ばすセンスの良さが最大の魅力です。

 とにかく平凡な人間が一人も登場せず、人間関係も最悪に複雑になる一方なので、物語中盤まではぐちゃぐちゃぶりを楽しむ映画かと思いましたが、それを終盤で見事に収束させたうえ、とんでもないところに着地させる構成に唸らされます。悲壮なシーンで笑わせながら、きちんと緊張させる場面もあるし、粗いながらもメリハリがしっかりしている映画という印象でした。
 主役のキカにあえてオバサン俳優を配していて、これがいやに色っぽかった。スペイン映画らしい極彩色の内装や、J=P・ゴルチエによる衣装も見どころの一つ。特にヴィクトリア・アブリルの着る過激なファッションは一見の価値有りです。

 ともあれ、理屈でどうこう言うより感じて楽しむ映画かと。それほどネチネチした描写もありませんし、後味も明るい、健全な変態博覧会という感じ。深夜にワインを飲みながら観ましたが、そのノリにぴったりの映画でした。

監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ヴェロニカ・フォルケ、ピーター・コヨーテ、アレックス・カサノヴァス、ヴィクトリア・アブリル
20051211 | レビュー(評価別) > ★★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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