マトリックス
『バウンド』でその才能を認められたウォシャウスキー兄弟による、SFアクション映画のカルト的作品。VSFXを多用した独特の演出や、当初から3部作を意識した作り、オーストラリアでの撮影など、以降のハリウッド映画に多大な影響を残しました。仮想世界とコンピュータの反逆という題材は『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』をはじめハードSFにはありがちですし、ハリウッドにも『トロン』『バーチャル・ウォーズ』など、試みに終わったものや無名のものなら何作かありますが、ここまでしっかりと描いたのはこの映画が初めてでしょう。その設定をうまく活用した超人的なアクションや、仮想世界へダイブする感覚などは、パソコン世代としては強烈なカタルシスを覚えました。敵側のプログラムを擬人化して分かりやすくしたのも勝因の一つ。このエージェント・スミスというキャラクターがしっかりしていたので、グダグダになりそうな話に一つ芯ができています。しかし終盤の展開はあまりに予定調和。ここに一工夫あれば評価も大きく変わっていたのではないでしょうか。
キアヌ・リーヴスはこういう人間離れした主人公の役には本当によくハマります。しかし演技という点では他の俳優も含め特筆すべきものはありません。一方、カメラワークはセンスが光っています。有名なバレットタイム撮影に限らず、独特のカット割りや置きパンなどのセンスは、新人監督とは思えない熟練ぶり。ただそれもSFX中心のカットになると途端にレベルが落ちるのが残念でした。
どこかカッコつけすぎの感も否めないので、世界観に入り込めなければこれほど滑稽な映画もないかもしれません。しかし仮想世界や近未来といったSF的要素に興味がある人ならハマる可能性は高いのでは。続編はグダグダになってしまいましたが、この作品は観る価値がある、と思います。
監督:アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
出演:キアヌ・リーヴス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジョー・パントリアーノ、グロリア・フォスター

20110529 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -


京極夏彦による人気ミステリ小説シリーズの映画化第二弾。前作完成後に逝去した実相寺昭雄に代わり、実力派の原田眞人が監督になったものの、作品自体はどこかちぐはぐになってしまいました。
ドイツを代表する児童文学作家ミヒャエル・エンデによる原作を西ドイツ/イタリアの共同制作で映画化したファンタジー作品。原作の持つ雰囲気を丁寧に再現した映画になりました。
MV界出身のスパイク・ジョーンズ監督の長編デビュー作にして、脚本家チャーリー・カウフマンの名を世に知らしめた秀作。飛び抜けたセンスは必見なんですが、理屈っぽくなってしまった物語が惜しい。
大友克洋の総監督によるオムニバスの劇場アニメ。SFやギャグといった、大友漫画の持つ異なるテイストを抽出した3つの短編は、それぞれ個性的で見応えがあります。
「
角野栄子による人気児童文学を、宮崎駿率いるスタジオジブリがアニメ映画化。これまでの宮崎作品に比べると対象年齢が高めの、おっとりとしたファンタジーに仕上がっています。
ブラックな笑いでヒットしたSFアクションの、同一監督による続編。前作から余分なものを削って勢いを増したおかげか、ノリの良い単純アクション・コメディとして好感の持てる内容でした。