オーシャンズ11
1960年の話題作「オーシャンと十一人の仲間」をスティーヴン・ソダーバーグ監督がリメイク。オリジナルに負けず劣らずの豪華キャストで制作された中身ゼロのスター映画で、そこそこ楽しめました。ラスベガスでお祭り騒ぎ的に撮られたこの映画では、ソダーバーグもいつもの作家性を廃してエンタテイメントに徹しているので、映画自体は取り立てて論じるべき内容はありません。豪華なキャストが出てきて粋なドラマを繰り広げ、ラストにきっちりどんでん返しがある、非常にありきたりな「スター映画」という印象です。
ただその程度の「スター映画」を目指しているというのが随所から感じられるのが、この映画の面白いところ。なにしろ近年のハリウッド映画は「スター映画」すらまともに撮れていないのが現状なので、ハリウッドの映画オタク筆頭であるソダーバーグとしては「このぐらいのことは簡単にやってくれよ」と言いたいのでしょう。実際ラスベガスで毎日酒浸りになって、二日酔いに苦しみながら演技してるとは思えないほどキャストはきちんと仕事をしています。誉められたことではないですし、監督自身は寝食を削って編集していたようですが…。
そういう意図を汲めば充分意義のある映画ですが、出来上がった映画自体を愛せるかというとそれは別問題なわけで。やっぱり平凡な「スター映画」は今の時代にはそぐわないのかなあ、と思っていたら「オーシャンズ12」で挽回してくれたので、さすがソダーバーグと感心したことを付記しておきます。
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツ、マット・デイモン、ドン・チードル、アンディ・ガルシア

20051026 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -

あの傑作B級SF「

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コーエン兄弟がデビューしたてのころに撮ったドタバタ・コメディーの秀作。とにかく冒頭からのテンポの良い展開と、あまりに特殊な展開に圧倒されるばかりの作品でした。
メインスタッフ3人が原案・監督・製作・脚本・撮影・主演・編集を兼ねるという超インディペンデントな、バイオレンス映画の問題作。「蝿を殺すように人間を殺す男」をカメラがひたすら追い続けるドキュメンタリー、という設定のフィクション。でも真に迫りすぎていて、本物のドキュメンタリーではないかと怖くなる瞬間すらありました。
「12人の優しい日本人」のプロデューサによる、なんとも日本映画らしいサスペンス・コメディの秀作。あまりに実直すぎる警官が銀行強盗役になったせいで、予行演習が一転して大事件に発展する様を巧みに描いています。
スティーヴン・ソダーバーグ監督による、大ヒット映画の続編。前作が典型的なハリウッド映画のスタイルだったので今回もそれほど期待していなかったんですが、おかげで見事にハマってしまいました。ここ数年のハリウッド大作映画系ではベスト。