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ありふれた事件

 メインスタッフ3人が原案・監督・製作・脚本・撮影・主演・編集を兼ねるという超インディペンデントな、バイオレンス映画の問題作。「蝿を殺すように人間を殺す男」をカメラがひたすら追い続けるドキュメンタリー、という設定のフィクション。でも真に迫りすぎていて、本物のドキュメンタリーではないかと怖くなる瞬間すらありました。

 観ているものまで犯罪を犯したような気分にさせる、突拍子もない演出は見事。実験映画をたて続けに観ていた時期に観たので、かなりはまってしまいました。出演者が「本人」として登場していて、そのあたりも錯覚させる材料の一つになっています。特にブノワ・ポールヴールドの残虐性は凄い、というか酷い……。オチは上手くまとまりすぎでしたが、そうでもしないと救われない話なのでそれはそれで良いのかも。
 エンタテイメント重視の映画ではないので退屈なシーンもあるものの、実験的精神は抜群。見た目以上に精神的な残虐性が堪えるので、苦手な人にはお勧めできませんが、ハリウッド系の上品なバイオレンスが嫌いな人は是非。

監督・出演:レミー・ベルヴォー、アンドレ・ボンゼル、ブノワ・ポールヴールド
20051002 | レビュー(評価別) > ★★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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