★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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青い春

 松本大洋の同名コミックを映画化した青春映画。原作中の「しあわせなら手をたたこう」を中心に構成しつつも、他のエピソードをちりばめた内容になっています。原作のファンなので期待していたんですが、原作の趣旨を完全にはき違えている、と感じました。

 あくまで私感ですが、原作は若者達の行動をドラマチックに描きつつも、肝心の若者自身の思考はとことん無気力で無目的で無計画に描いているところが重要であり、第三者には無為としか見えない「未熟ゆえのエキセントリックさ」を描き出しているのが最大の魅力だと思うんですが、それが映画では「若者の衝動と苦悩」という立派なテーマに置き換えられ、悩める若者を情緒豊かに描いているのです。おかげで、今の若者が「自分はちゃんと考えて生きているんだ」と疑いもなく信じているような気がして怖くなりました。
 ただし全てが駄目というわけでもなく、面白い演出が多かったのも事実。学校の冷たい空気なんかは良く出ています。主演の松田龍平を始めとして、出演している若手俳優の質も良かった。

 普通の「青春感動エンタテイメント」を期待する人なら楽しめるのでは。ただ原作ファンには微妙。原作からシチュエーションだけ貰った、全く別の映画だと思わないとダメです。うーん。

監督:豊田利晃
原作:松本大洋
出演:松田龍平、新井浩文、高岡蒼佑、大柴裕介、山崎裕太、忍成修吾、KEE
20051013 | レビュー(評価別) > ★ | comments (0) | trackbacks (0)
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