セイント
ヴァル・キルマーの主演作としては珍しく破綻していないアクション映画。気になる点は多々あるものの、90年代のスパイ映画ブームに乗って作られた一作の中では、きっちり盛り上がって楽しめる内容でした。キルマーの変装メイクはバレバレですが、人物ごとの演じ分けはきちんと出来ていたような。「パトリオット・ゲーム」「今そこにある危機」で名を馳せたフィリップ・ノイス監督による映像は重厚で見応えがあり、軽すぎのB級アクションになりがちなところをうまくごまかしています。さすがに敵がロシアだったり、争うものが低温核融合の方程式だったりと、思わずツッこみたくなる設定の古さは辛いところがありますが、締めるべきところをきっちり締めた演出には好感が持てました。あと、この「聖人の名前をとった人物に変装する」という設定は、陳腐かも知れませんが映画向きで面白いな、と。
レイド・セルベッジアが、悪玉の石油王役でふてぶてしい演技を披露しているのも見物の一つ。かなりご都合主義映画のような気もしますが、ヒーロー映画寄りのスパイものとして観るなら損はしないと思います。
監督:フィリップ・ノイス
原作:レスリー・チャータリス
出演:ヴァル・キルマー、エリザベス・シュー、ヴァレリー・ニコラエフ、レイド・セルベッジア

20060116 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -

アメコミ界の人気作家トッド・マクファーレンによる原作コミックを、いわゆるアニメ世代出身のマーク・ディッペ監督で映画化。アメコミそのままな展開は短絡的でしたが、主人公スポーンの再現率は良かった。
旧ソ連の巨匠、アンドレイ・タルコフスキーの代表作の一つ。突如出現した”ゾーン”と呼ばれる空間と、そこに忍び込む人々を描いたSFサスペンスの傑作です。
感動的な語り口で評価が高いラッセ・ハルストレム監督による、ファンタジックな、それでいて重いテーマのドラマ。全体としては綺麗にまとめていますし、表現したいことも分かるんですが、うまく騙されたような気分。
ブラジル、リオデジャネイロ郊外の通称”Cidade de Deus(神の街)”を舞台に繰り広げられる、実話を元にした犯罪ドラマ。130分という上映時間に少しの無駄もない、むしろそれ以上の時間が凝縮された、爆弾のように強烈な映画でした。
グリム童話「白雪姫」のダークな面をも再現した、ファンタジー映画の秀作。こういうのは企画だけが一人歩きして内容がついてこない場合が多いんですが、今回は及第点どころかその上をいく出来で驚かされました。
R・ロドリゲス監督がデビュー当時から映画化したかったというグラフィック・ノベルのカルト的作品を、その原作者を共同監督に迎えて制作した話題作。これでもかというバイオレンス映画を期待していたので大満足でした。
処女作「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」が評価され、一躍イギリス映画界の寵児となったガイ・リッチー監督の第2作。ストーリーは支離滅裂、登場人物はアクが強すぎるというのに、それらをセンス溢れる音楽と編集で包装して観客の前にこれでもかと並べる手法が冴えています。
デヴィッド・フィンチャーが新人らしからぬところを見せつけたサイコ・サスペンス映画の傑作。これは問答無用で惚れました。