★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク

 スティーヴン・スピルバーグ監督による、大ヒット恐竜映画の続編。前作とは打って変わって、暗いムードのサバイバル・ホラーでした。
 前作で重いテーマを盛り込めなかった反動なのか、今回は人間と恐竜の関係を掘り下げたドラマに時間を割いています。特にピート・ポスルスウェイト演じるローランドの存在が象徴的。ただ前作の夢と冒険に満ちた作風が記憶にあったせいか、今作は重すぎて興ざめ。恐竜の“怖さ”を強調する演出や、ヤヌス・カミンスキーによるハイ・コントラストな映像も、観ている内に疲れてしまいました。

 前作とは比にならないほどリアルな恐竜たちはさすがに見所。あと評判悪い“本土上陸”は、実は好きだったりします。そちらにもっと力を入れて欲しかったぐらい。まあ、スピルバーグの思い入れが炸裂した映画、ということで…。

監督:スティーヴン・スピルバーグ
原作:マイケル・クライトン
出演:ジェフ・ゴールドブラム、ジュリアン・ムーア、ピート・ポスルスウェイト、ヴィンス・ヴォーン、ピーター・ストーメア、リチャード・アッテンボロー
20060402 | レビュー(評価別) > ★ | - | -

ジュラシック・パーク

 世界中の恐竜ファンの夢を実現したとも言える、スティーヴン・スピルバーグ監督による恐竜映画。マイケル・クライトンによる原作を、ILMの特殊効果技術を総結集して実現した驚異の映像は、当時としては奇跡を見るようでした。
 登場する恐竜は全てマペット(機械駆動の人形)かCGで、着ぐるみが一つもないというのは恐竜映画にとっては革命的なこと。実物大ティラノサウルス・レックスのマペットまで作ったというスピルバーグの力の入れ様は凄いの一言に尽きます。アクションシーンの撮り方に突出したものはありませんが、素材の良さを殺さないそつの無さは良かった。サム・ニールやジェフ・ゴールドブラムなど、もうお父さん世代になってしまったかつての若手スターが、主役級で出演しているのも嬉しいところ。ストーリーはグダグダだし、映画の構造も数多のジェットコースター・ムービーと大差ありませんが、とにかく大迫力の恐竜たちが画面の中を暴れ回っているというだけで感動モノでした。

 とにかく恐竜好きなら、一度は観ておくべきでしょう。この作品以降、ハリウッドではCGを使ってどんなシーンでも実現できるようになってしまいましたが、この作品を観たときほどの感動はもう得られないでしょう。それだけインパクトがあった映画でした。

監督:スティーヴン・スピルバーグ
原作:マイケル・クライトン
出演:サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム、サミュエル・L・ジャクソン、リチャード・アッテンボロー
20060401 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -

GODZILLA ゴジラ

 お馴染みローランド・エメリッヒ&ディーン・デブリンのコンビによる、かの名作怪獣映画のハリウッド版リメイク作。ラジー賞では“ワースト・リメイク・続編賞”にも輝いた勘違いぶりで、どこがゴジラなんだと問いただしたくなりました。
 冒頭のゴジラ出現シーンの演出には、近年の日本版ゴジラが忘れていた凄みを感じるものの、その後の展開は相変わらずエメリッヒ節炸裂でお粗末な限り。ゴジラがただの恐竜程度の扱いで、オリジナルの威風堂々たる佇まいは欠片もありませんし、対する人間のドラマも緊迫感がなく、ダークなトーンで統一された映像とは噛み合っていません。ゴジラ映画かどうか以前に、怪獣映画として楽しめない、ただ大迫力のVSFXが連続するだけの映画になってしまって、ひたすら残念でした。まあ、それこそエメリッヒ監督の持ち味なんですが。

 ちなみに、ハリウッドでは続編を三作目まで予定してたものの、さすがにそれは無理だったのかアニメシリーズへと方針を切り替えています。典型的な失敗作だなあ…。

監督:ローランド・エメリッヒ
原作:本多猪四郎、香山滋
出演:マシュー・ブロデリック、ジャン・レノ、ハンク・アザリア
20060331 | レビュー(評価別) > ★ | - | -

インデペンデンス・デイ

 「スターゲイト」のローランド・エメリッヒ監督によるSFスペクタクル映画。相変わらず紋切り型の展開ながら、大迫力の映像を楽しめる娯楽大作です。

 冒頭から終盤まで、いわゆる「宇宙戦争もの」の定番そのままなお気楽ストーリーですが、ここまで新機軸が無いと逆に安心して観ることが出来ます。その代わり、あらゆる特殊効果を駆使して繰り広げられる爆発やドッグファイトは見事な出来映え。想像を上回る大迫力の映像は、映画館で映画を観る醍醐味を実感できること請け合いです。
 ウィル・スミス、ジェフ・ゴールドブラム、ビル・プルマンという三人の主演俳優が、それぞれ対等に活躍するのがまた大作映画っぽくてツボ。ビル・プルマンは大統領が本当によく似合いますね。妙に感傷に訴えようとする物語が気になりますが、彼らのコミカルな演技のおかげでカバー出来ているのでは。

 例の演説に拒絶感を覚える人もいたようですが、僕はあそこはギャグだと思いました。実はアメリカ中心主義に対する皮肉なのかも。ともあれ、こういう中身ゼロの娯楽大作をきっちり撮れるエメリッヒ監督の手腕には脱帽です。

監督:ローランド・エメリッヒ
出演:ウィル・スミス、ビル・プルマン、ジェフ・ゴールドブラム、メアリー・マクドネル、ジャド・ハーシュ、アダム・ボールドウィン
20060330 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -

スターゲイト

 ドイツ出身のローランド・エメリッヒ監督が手がけたSF大作。笑っちゃうほどコテコテの展開を大真面目にやる手法には、感動すら覚えました。

 近年のハリウッドで乱発される“B級大作映画”とでも呼ぶべきジャンルは、この作品から始まったと言っても過言ではないでしょう。なかなかキャッチーな出だしで、物語のスケールが大きく、全てにおいて手も込んでいるのに、物語の根幹は過去のB級SF映画と何ら変わりません。底の浅いものを大仰にやるので、かえって安っぽさばかりが強調されてしまいました。
 ただB級SFとしての出来はなかなかのもの。何より神々の変身や戦闘機の爆撃など、見せ場の迫力はかなりのもので、特撮監督エメリッヒの手腕が伺えます。“スネーク”カート・ラッセルの出演も嬉しいところ。物語も必要以上に期待しなければ楽しめるレベルで、テレビでやってるとついつい観てしまう映画、といった印象です。

 ハリウッドが忘れていた大作映画の良さを思い出させてくれた、と言えば存在意義もあったのかも。ただ過去の焼き直しに過ぎないので、作品自体の新鮮さはゼロ。エメリッヒ監督はそれだけの人だ、ということをハリウッドは早く気づいてあげるべきだったのではないかなあ、と。

監督:ローランド・エメリッヒ
出演:ジェームズ・スペイダー、カート・ラッセル、ジェイ・デヴィッドソン、ヴィヴェカ・リンドフォース
20060329 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -

ユニバーサル・ソルジャー

 “ドイツのスピルバーグ”と評されたローランド・エメリッヒ監督の、ハリウッド・デビュー作。ヴァン・ダムとラングレンという二人のアクション・スターの共演が話題でしたが、エメリッヒの地味な作り込みとの食い合わせは悪いような。
 冒頭の超遠距離狙撃というあまりに地味な作戦や、SFアクション作品らしからぬ妙に凝った設定など、とにかくエメリッヒ監督独特のセンスが炸裂しています。ただB級止まりのセンスを大まじめに展開するという欠点は既に露呈していて、前半こそ盛り上がるものの後半は失速気味。確かに脚本は凝っているんですが、こういう単純アクション映画で脚本に凝られてもなぁ、と観ていて困ってしまいました。

 ラングレンの悪役ぶりは見物です。ヴァン・ダムは相変わらず時代遅れのヒーローそのもの。B級アクション好きなら楽しめるとは思いますが、エメリッヒのセンスが鼻につく点は否めません。

監督:ローランド・エメリッヒ
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ドルフ・ラングレン、アリー・ウォーカー、エド・オロス、ジェリー・オーバック
20060328 | レビュー(評価別) > ★ | - | -

メン・イン・ブラック2

 ブラックな笑いでヒットしたSFアクションの、同一監督による続編。前作から余分なものを削って勢いを増したおかげか、ノリの良い単純アクション・コメディとして好感の持てる内容でした。
 モンスターのデザインが控えめになり、荒唐無稽なアクションシーンが増えたのが何より良かった。ストーリーもあってないようなもので、ヒロインの扱いもぞんざいならボスのやられ方まであっけなく、何から何までテキトーB級映画のお手本のような作品。ボリューム不足は残念ですが、くだらないジョークを笑い飛ばすだけという開き直りが感じられて、最後まで楽しめました。

 前作で嫌々やっていた節のあるT・L・ジョーンズが、喜々として出演しているのに何より驚きました。ウィル・スミスは相変わらずというか、むしろ板に付いてきた感じ。あと今作のカメオ出演者にはビックリ…! ソネンフェルド監督には、このままジョン・カーペンターへの道を着実に歩んでいって欲しいところです。

監督:バリー・ソネンフェルド
原作:ローウェル・J・カニンガム
出演:ウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズ、 ララ・フリン・ボイル、ロザリオ・ドーソン、リップ・トーン
20060328 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -

ワイルド・ワイルド・ウエスト

 シュールな映像センスに定評のあるバリー・ソネンフェルド監督による、60年代アメリカの人気テレビシリーズの映画化作品。ありがちなハリウッド製アクションと思わせて、実はあなどれない内容でした。

 007シリーズをそのまんまパクったオープニングに始まって、相変わらずのブラックな内容はソネンフェルド監督らしい世界。分かり易いストーリーもケレンがありますし、ウィル・スミスの喋りだって今回はハマっていて、黒人の保安官というナンセンスさも素直に笑えます。脇を固めるケヴィン・クラインやケネス・ブラナーといった渋い男どもも、それぞれに芸達者で楽しめました。
 でも、この映画の主役はメカ! 蒸気機関で煙を吹き出しながら走る自転車や巨大蜘蛛を観るだけで料金分は回収できるというものです。何といっても拡声器とか、明らかに蒸気機関では不可能な仕掛けまでゴリ押しで通す、良い意味での常識の無さがスチームパンク好きにはたまりません。特撮的なレベルは低くても奇抜なビジュアルは期待以上だったので、その点では大満足でした。

 CG全盛で、ただ規模を大きくすればいいだろうという映画が多い中で、この映画はむしろCGで何を見せたいかがはっきりしていて好感が持てます。より効果的な演出ができればもっといいんですけど、大味な娯楽作品と、スチームパンクが好きな方はぜひ。

監督:バリー・ソネンフェルド
出演:ウィル・スミス、ケヴィン・クライン、ケネス・ブラナー、サルマ・ハエック、M・エメット・ウォルシュ
20060328 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -

メン・イン・ブラック

 「アダムス・ファミリー」のバリー・ソネンフェルド監督によるSFアクション・コメディ。かなり広告で煽っていた割に、映画はお粗末な出来でした。
 主演二人の迷コンビぶりや、既存のSFを巧みに皮肉るセリフの数々は、なかなか良いセンスです。でも肝心のストーリーがとりとめもないので宝の持ち腐れという印象。クリーチャーデザインも狙い過ぎなうえに、日本人にはちょっとアクが強すぎます。全体としては、何も考えずに観て、終わったらキレイさっぱり忘れるという典型的な大量生産主義の映画になってしまいました。細かいアイデアは光っているので、もっと世界観を広げてもらえるとよかったのに、とつくづく残念。

 トミー・リー・ジョーンズがかなり嫌々演じているように感じたのは気のせいでしょうか。ソネンフェルド監督は個人的に思い入れがあっただけに、これで消えるのは惜しいなあ……と思っていたら次の大作「ワイルド・ワイルド・ウェスト」や「メン・イン・ブラック2」で悪ノリしてくれたので、ちょっと見直しました。その過渡期の映画ということで。

監督:バリー・ソネンフェルド
原作:ローウェル・J・カニンガム
出演:ウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズ、リンダ・フィオレンティーノ、ヴィンセント・ドノフリオ
20060328 | レビュー(評価別) > ★ | - | -

ハーフ・ア・チャンス

 パトリス・ルコント監督が、アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドというフランスの二大スターを主演に撮りあげた痛快アクション。ダンディな魅力満載で、笑いもアクションも楽しめる良作です。
 ドロンがクラシックカーで爆走すれば、ベルモンドは鍵開けに手腕を発揮し、二人揃って銃撃戦だってこなしちゃう、この60過ぎの大俳優たちがとにかく魅力的。間を取り持つヴァネッサ・パラディも、オヤジ二人を振り回すしたたかさで存在感がありました。この三人の掛け合いがとにかく楽しく、ハラハラさせるシーンもある意味安心して楽しめます。マフィアの抗争や警察の介入などシリアスなドラマが裏で進行しているのに、どこ吹く風の三人組がことごとく事態をブチ壊すヌルい展開には、ある意味カタルシスまで感じました。

 全編通して、フレンチB級アクションを彷彿とさせつつ、色気と笑いできっちり楽しませてくれる上質のエンタテイメントでした。回顧主義だといわれようが面白いものは面白いのです。ぜひ。

監督:パトリス・ルコント
出演:アラン・ドロン、ジャン=ポール・ベルモンド、ヴァネッサ・パラディ、エリック・デュフォス、ミシェル・オーモン
20060317 | レビュー(評価別) > ★★★ | - | -