第9地区
独創的なアイデアでニール・ブロンカンプ監督の名を一躍有名にしたSF映画のカルト的作品。ところどころ破綻しているシナリオはともかく、新世代を感じさせる映像作法には驚かされました。ドキュメンタリー風映像で政治的主張を語る映画と思わせておいて、物語と一緒に中盤からガラッと表情を変える演出が面白い。しかもその変化がスムーズで違和感を感じさせず、気がつくと大スペクタクルの渦中にいるという感動は今までどの映画でも感じたことのないものでした。いかにもSF的なエンディングも良い。だからこそ、いくつかの展開に感じた違和感が惜しかった。特に主人公の性格付けが不安定なところが最後まで気になってしまいました。
俳優はほとんどが素人ですが、違和感はありません。低予算ながらCGもそこそこ臨場感のある出来。あと、地味なところでロボットの挙動がしっかり作り込んであったのも良かった。ここは他の映画にも見習って欲しいところです。
映画的な新鮮さ、SF的な発想の面白さなどを盛り込みつつ、きちんと大作映画になっている不思議な作品でした。低予算映画ならではの自由な発想で、ハリウッド的エンタテイメントの常識を大きく覆して見せたニール・ブロンカンプ監督の今後が楽しみです。
監督:ニール・ブロンカンプ
出演:シャールト・コプリー、ジェイソン・コープ、デヴィッド・ジェームズ、ヴァネッサ・ハイウッド

20110405 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -




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