ストーカー
旧ソ連の巨匠、アンドレイ・タルコフスキーの代表作の一つ。突如出現した”ゾーン”と呼ばれる空間と、そこに忍び込む人々を描いたSFサスペンスの傑作です。プロット自体はシンプルですが、160分という時間をかけてじっくりと描き出されているために、物語はこれ以上ないほど厚みがあります。宗教的であったり観念的であったりする登場人物の思想も、最後には一つのテーマへと昇華していて、非常に手応えのある物語でした。モノクロとカラーの映像を場面によって切り替えたり、ゾーンの驚異を具体的な何かでなく自然現象の一つになぞらえて描くなど、表現技法にも独特の説得力があります。
SFやファンタジーなど非現実を舞台にした物語は、その舞台設定に対する必然性がないと興ざめしがちです。この映画も、あらすじを聞いた時点では”ゾーン”という舞台設定からしてチープに思えましたが、観終わるころにはその哲学性に惚れ込んでしまいました。象徴主義や観念論などを駆使し、映像と台詞でテーマをこねくり回す様は圧巻です。
極力エンタテイメント性を廃した作品なので注意。全力で映画の表現したいことを考えながら観ないと取り残されてしまいますが、それだけ哲学的SF映画の懐しみに満ちた名作でした。
監督:アンドレイ・タルコフスキー
原作:アルカージー・ストルガツキー、ボリス・ストルガツキー
出演:アレクサンドル・カイダノフスキー、アナトリー・ソロニーツィン、アリーサ・フレインドリフ

20051226 | レビュー(評価別) > ★★★★ | - | -

ジョージ・ルーカス監督の長編デビュー作。学生時代に撮った短編映画を評価されて劇場用に作り直したもので、映画としての構成は単調で分かりにくいのですが、そのストイックな設定や物語はSF好きのツボを心得ています。
ジョージ・オーウェルによって1949年に書かれたSF小説を、表題の1984年に映画化したという作品。ビッグ・ブラザーというリーダーの下に統制の敷かれた未来像が衝撃的でした。原作のテーマは様々な映画で応用されていますし、この映画自体、多数のオマージュを生み出したSF映画の隠れた名作です。
テリー・ギリアム監督によるSF映画の傑作。ギリアム監督のシニカルな面が存分に発揮された物語で、夢と現実の交錯する構成が見事な、カルト映画の代名詞のような作品です。
リドリー・スコットの名声を確実なものにした、SFサスペンスの傑作。80年代SF映画の最高峰のひとつで、荒廃した世界観とハードボイルド的な物語の組み合わせが見事です。
J=P・ジュネ監督による、人気SFホラー(という呼称は本来不適切だけど)シリーズの第4作目。今回、盟友キャロは「繊細すぎるため」デザイン面のみの参加ということですが、相変わらずのダークでどこかユーモアのある世界観は健在。ただ「エイリアン」との食い合わせは微妙でした。
ジュネ&キャロのコンビによる長編第二弾(マルク・キャロは美術監督として参加)。14億円という、フランス映画にしては莫大な予算をつぎ込み、巨大セットをいくつも建造して創り出したヨーロッパ世紀末的な世界観が凄い。僕もchako氏も、あらゆる映画の中でこの作品が一番好きです。
ジャン=ピエール・ジュネとマルク・キャロのコンビによる、非常にブラックでユーモアに満ちた長編処女作。それまで映画に抱いていたイメージが、この作品によって根本から覆されました。それだけオリジナリティのある、希有な映画です。
ジャン=クロード・フォレストによるコミックを元に、1967に制作された不条理SFの傑作。映画としては破綻しまくっているんですが、ここまで凄いとかえって全てが許せてしまいます。
鬼才という言葉がいやに似合うテリー・ギリアム監督が、クリス・マルケルの「