★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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ソウ

 オーストラリア出身の監督は、どこかアメリカ映画とは毛色の違う映画を撮るのでけっこう好きなのですが、そのオーストラリアから新たな若手監督&脚本コンビが登場。ショッキングな映像が目を引くサイコスリラーですが、見所のミステリ部分がお約束すぎました。

 このオチは、推理小説を読む人なら予告編を見た時点で最初に想定するものだと思います。息の詰まるような密室劇を楽しめるかと思ったらそれも最初だけで、あとは別の方向に話が…。でも、それ以降をB級ホラー映画として観ると、なかなか楽しめるのかも。適度にスプラッタですし、犯人が演出過剰なところとか、ビジュアル重視で中身のないカメラワークとかも良く出来ています。落ち着きがないので観ていて疲れますが、僕がホラー映画が苦手なせいもあるかと。
 というわけで★一つ足そうかと思ったんですが、そもそもこの映画のやりたいことはB級ホラーじゃないと思うので、やっぱり足さないでおきます。純粋ミステリ系の映画は期待しない方が良いですね…。

監督:ジェームズ・ワン
脚本:リー・ワネル
出演:ケイリー・エルウィズ、リー・ワネル、ダニー・グローヴァー、モニカ・ポッター
公式サイト
20050923 | レビュー(評価別) > ★ | - | -

バットマン・ビギンズ

 往年の人気シリーズの続編を、新鋭クリストファー・ノーラン監督で映画化。といっても物語はバットマン誕生のエピソードを追った内容になっています。さらにティム・バートン版で創られたイメージを払拭して、より原作に近づけようという意図があるようです。が、それがどうしても効果的には思えませんでした。

 きちんと主人公のトラウマとか、敵の存在意義なんかをストーリーで追おうとしているのは分かるんですが、それが実感として伝わって来ないのです。どんなに台詞で説明しても、それが俳優の演技や映像に反映されないので臨場感がなく、むしろ喜々として演じているモーガン・フリーマンや、逆に平凡すぎるゲイリー・オールドマンといった脇役の方が魅力的で、そこに今後への期待を持つことは出来ますが、それだけでした。
 でも何より不満なのは悪役が釈然としないこと。ヒーロー映画の敵役なのに、これでは最近溢れかえっているテロ映画の犯人役と何も変わりません。まあアメリカの情勢がそうさせたのかもしれませんが…。アクションシーンも僕が嫌いな「短すぎるカットバック」で繋ぐシーンが多く、楽しめたのはカーチェイスぐらい。でも所々で挿入されるジョークはいちいち笑えて、助かりました。

 原作ファンはこちらの方がしっくり来るかもしれませんが、僕は原作をあまり読んでいないのでパス。俳優陣が豪華なので、そこに魅力を感じられる人が観ても良いかもしれません。特に前述した二人は可愛らしかったので、ファンの方は是非。

監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマン
公式サイト
20050914 | レビュー(評価別) > ★ | - | -

アイランド

 お気楽スペクタクルが板に付いてしまったマイケル・ベイが、ユアン・マクレガーを主演に迎えて放つSFアクション大作。正直、物語に全く入り込めませんでした。登場人物に明確な志向性が与えられていないので、誰かが行動するたびに「なんで?」という疑問ばかりが沸いてくるのです。結果、感動的なシーンほどコメディにしか見えなくて……。
 ただのポップコーン・ムービーだと言えばそれまでなんですが、SFというジャンルである以上は、ある程度の整合性が欲しかったなあ、と。

 アクションシーンは相変わらず迫力がありますが、カットバックを多用した演出に軽薄な感じがして、個人的には不満でした。「THX-1138」そのままの設定と展開は、むしろコテコテで良いのでは。あと、ユアン・マクレガーのスコットランド訛りが久々に聴けたのが、思わぬ収穫でした

監督:マイケル・ベイ
出演:ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、スティーヴ・ブシェミ
公式サイト
20050912 | レビュー(評価別) > ★ | - | -