未来世紀ブラジル
テリー・ギリアム監督によるSF映画の傑作。ギリアム監督のシニカルな面が存分に発揮された物語で、夢と現実の交錯する構成が見事な、カルト映画の代名詞のような作品です。何処が良いかと聞かれても、あまりに荒唐無稽な内容なので、とにかく一度観てくれと言うしかありません。物語そのものも非常に魅力的ですが、それが映像を伴ったときに発揮される焦燥感はギリアム作品の中でもダントツ。随所に挿入されるブラックユーモアや、無機的で白が基調の都市と有機的で猥雑な夢の対比、あまりに衝撃的で救いのないラストも良い。
それにしても豪華な映像には参りました。近未来の巨大なビルや、主人公の見る悪夢の世界を完璧に映像化したセンスには脱帽。どれも存在感があって、かつ「ありえない」感じが良く出ていました。中でも拷問室のセットは無言の圧迫感があり、映画の不気味さを引き立てています。物語がダークで混沌にまみれている中で、音楽だけが明るくポップなのも皮肉が効いていて良かった。
シナリオを真面目に追って考え込むより、そこに秘められたブラックさに笑いつつ、カラフルな映像を楽しむのが目的でしょう。SFという世界観のファンタジーであり、チャンネルが合う人には最高のトリップ・ムービーかと。こういう映画を観てしまうと、普通の映画ではもう物足りなくなってしまいますね。
監督:テリー・ギリアム
出演:ジョナサン・プライス、キム・グライスト、ロバート・デ・ニーロ、イアン・ホルム、キャサリン・ヘルモンド、ボブ・ホスキンス

20051223 | レビュー(評価別) > ★★★★ | - | -

ブラジル、リオデジャネイロ郊外の通称”Cidade de Deus(神の街)”を舞台に繰り広げられる、実話を元にした犯罪ドラマ。130分という上映時間に少しの無駄もない、むしろそれ以上の時間が凝縮された、爆弾のように強烈な映画でした。
宮崎駿監督が、自身の飛行機マンガを映画化したアニメーション作品。僕が初めて劇場で観た「ジブリ映画」で、当時は面白さがさっぱり分かりませんでしたが、大人になってから見直してみると評価が一変しました。これは大傑作です。
デンマークの奇才、ラース・フォン・トリアー監督による異色のラブ・ストーリー。物語全体に漂う宗教観や映像美はこれまでのトリアー監督の作品同様ですが、今回はテーマ性を前面に押し出した、より感情を揺さぶられる作品に仕上がっていました。
イギリスを代表するブラックコメディ集団モンティ・パイソンによる、初の本格劇映画。本国イギリスの伝説的英雄である「アーサー王と円卓の騎士」をものの見事に皮肉った、まさにカルト・コメディの代表作と呼ぶにふさわしい作品です。
ヴィム・ヴェンダース監督の代表作との呼び声も高いロード・ムービー。まだロード・ムービーというものをそれほど経験していない学生時代に観て、完全に打ちのめされました。
ジャン=ピエール・ジュネ監督の長編4作目。今回はマルク・キャロとのコンビを解消し、ひたすら自分の世界を追求しています。もう、こんな映画を待っていました、という気分。初めてジュネ作品を観たときから、いつかはこういった映画を撮ってくれるのではないかと期待していたのですが、これで夢が叶いました。
ジュネ&キャロのコンビによる長編第二弾(マルク・キャロは美術監督として参加)。14億円という、フランス映画にしては莫大な予算をつぎ込み、巨大セットをいくつも建造して創り出したヨーロッパ世紀末的な世界観が凄い。僕もchako氏も、あらゆる映画の中でこの作品が一番好きです。
ジャン=ピエール・ジュネとマルク・キャロのコンビによる、非常にブラックでユーモアに満ちた長編処女作。それまで映画に抱いていたイメージが、この作品によって根本から覆されました。それだけオリジナリティのある、希有な映画です。
R・ロドリゲス監督がデビュー当時から映画化したかったというグラフィック・ノベルのカルト的作品を、その原作者を共同監督に迎えて制作した話題作。これでもかというバイオレンス映画を期待していたので大満足でした。