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ロード・オブ・ウォー

 「ガタカ」のアンドリュー・ニコル監督が戦争映画を撮ったらどうなるか、という期待に見事に答えた作品。強烈な衝撃こそ無いものの、その嫌みのなさにかえって考えさせられる内容でした。

 月並みな表現ですが、ボディーブローのようにジワジワと効いてくるテーマが見事。武器商人を扱った映画自体、おそらくこの作品が初めてなんでしょうが、そのショッキングな題材をあくまでウィットで包んで否定も肯定もせずに提示しているバランス感覚が凄い。押しつけがましい主張はせずに、普通の人なら誰もが抱くような感情に自然に訴えかけているので、非常に説得力があります。あまりにシンプルな物語で、結論も新鮮さはなく物足りないぐらいですが、それを物足りないと感じてしまうことが恥ずかしいと思えるほどでした。
 ニコラス・ケイジの演技は流石。ジャレッド・レトがその弟というのはビジュアル的に無理がありそうでしたが、イノセントな感じが良く出ていて好感が持てました。イーサン・ホークやイアン・ホルムといった演技派の活躍も必見。ちなみに、某大佐の声はドナルド・サザーランドだそうです。

 ケイジの最後の台詞は、静かな主張ながら印象的。過去の悲劇を利用して感傷に訴えかけようという態度がミエミエの戦争映画が多い中で、これは現在進行形の問題をとらえつつ前向きなメッセージを提示している希有な作品でした。多くの人に観て欲しい映画ですが、地味なせいか全く売れないまま上映終了してしまったのが残念な限りです。

監督:アンドリュー・ニコル
出演:ニコラス・ケイジ、ジャレッド・レト、イーサン・ホーク、イアン・ホルム、ブリジット・モイナハン
20060119 | レビュー(評価別) > ★★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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