★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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ダークシティ

 「クロウ/飛翔伝説」のアレックス・プロヤス監督によるSFスリラー。記憶喪失モノと管理社会モノのミックスという、いかにもB級映画なプロットですが、アレンジと世界観が不思議と魅力的でした。

 物語的にもビジュアル的にも、監督がやりたかったんだろうなーという要素がふんだんに盛り込まれていて、見応えは十分。デヴィッド・S・ゴイヤー脚本のコミック的な発想が不思議な世界観とマッチして、独特の魅力を放っていました。
 ただオーストラリア映画界出身の監督らしい大味な出来で(といっても監督はエジプト出身のギリシャ系ですが)、盛り込みすぎで全体感を失っていたり、セットの造りがひたすら薄っぺらかったり、なにより最後のサイキック合戦はどうなのよと色々ツッコみどころ満載。当たって砕けろ的なチャレンジ精神は評価できるものの、もうちょっと完成度が高ければと残念でした。役者では、心理学者役のキーファー・サザーランドの熱演は必見。ちょっと見ただけでは分からないほど、特殊な役になりきっていました。

 ともあれ、90年代のSF映画としては異色の一本。特に「ロスト・チルドレン」あたりの影響が如実ですが(台詞にも出てきますし)、そうと割り切って観るとなかなか楽しめます。SF的なトリックや説得力より、映像や雰囲気を楽しみたい方は、一度は観てみるのも良いのでは。

監督:アレックス・プロヤス
出演:ルーファス・シーウェル、キーファー・サザーランド、ジェニファー・コネリー、ウィリアム・ハート
20060109 | レビュー(評価別) > ★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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