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ロード・オブ・ザ・リング

 ピーター・ジャクソン監督が長年の「指輪物語」ファンの夢を結実させた超大作。3部作を最初に全て撮影してしまって、1年ごとに1作ずつ公開するという仕組みは、よくもやったりという大企画です。ただ原作を未読だったせいか、展開が突飛すぎて楽しめませんでした。

 確かに所々で魅せる場面もあるのですが、会話シーンとアクションシーンでメリハリが利いてなかったり、被写界深度も慣性の法則もそっちのけのCG風景がミニチュアみたいに見えたりと、的はずれなカメラワークのせいで損をしている場面が目立ちます。台詞回しも原作未読者が理解できないほど濃縮されていて、人物の魅力もいまいち分かりませんでしたし、映画の基本的なところが出来ていないという印象です。何より唐突に挿入されるB級ホラー的演出が笑えてしまって、深刻なシーンでも感情移入が出来ないのはちょっと……。
 大金を投入して作り上げた映像世界にはパワーがありますが、密度が高いだけで工夫は乏しいかと。原作に思い入れもないし、特に好きな俳優も出ていないので、せめてストーリーの不足分を補うような目の覚めるような演出があれば楽しめたのに、と残念です。

 あと、日本公開ではサブタイトルを省くなど3部作であることを伏せたような広告展開で困惑させたり、字幕が原作を尊重していなかったりと、原作ファンのみならず映画ファンも無視したような配給の仕方だったことを付記しておきます。内容も営業も、全てに不満点の多い映画でした。

監督:ピーター・ジャクソン
原作:J・R・R・トールキン
出演:イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、ヴィゴ・モーテンセン、オーランド・ブルーム
20051116 | レビュー(評価別) > ★ | comments (0) | trackbacks (2)
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久しぶりに腹が立つ映画です。「旅の仲間」「二つの塔」「王の帰還」全部合わせたら10時間くらいにはなるんじゃないでしょうか。それなら自分でロールプレイングゲームをしてた方が何倍も面白いし泣けるでしょう。原作は後の作品に多大な影響を与えた名作なのでしょうけど