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ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

 同名ファンタジー小説の映画化シリーズ第3作。今回は監督が「天国の口、終わりの楽園」のアルフォンソ・キュアロンに交代して、前2作よりも凝った演出が目立つ作品に仕上がっています。

 上映時間が一気に短くなったため、相変わらず原作を読んでいるのが前提のような説明不足さが目立ちます。心情描写に時間を割いている点は良かったんですが、それも原作ファンじゃないと分かりにくいのでは。ただ今回はゲイリー・オールドマンがシリウス・ブラックを演じているというだけで、もう僕としては気絶するほど嬉しいのです。しかもルーピン先生がデヴィッド・シューリスだというのもツボ。主演の3人をはじめ子役達も相応に成長して、服装や髪型にも凝ってみたりと映像的にも新鮮でした。リチャード・ハリスの急逝でダンブルドア校長役はマイケル・ガンボンに交代しましたが、こちらもしっかりした演技で違和感ありません。
 先述した心情描写もそうですが、今回は原作にない演出があって、でも世界観を壊さずに映画的な味付けをしているという印象で好感が持てました。きちんと「映画」になっているという感じ。ただ映画の質が上がると、原作にあるような感動が半減しているのが余計残念に感じられます。ああああそこはもっとこう、こういうカタルシスがあるのに……と。

 ちなみに、この3作目は子供には不評のようです。あまり映画を見慣れていない子供にとっては、繊細で凝った演出は邪魔なだけなのかも。なかなか難しいですね。ともあれ、3作目までは及第点で来ているので、このまま続けて欲しいシリーズではあります。

監督:アルフォンソ・キュアロン
原作:J・K・ローリング
出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、マイケル・ガンボン、マギー・スミス、アラン・リックマン、ロビー・コルトレーン、ゲイリー・オールドマン、デヴィッド・シューリス
20051111 | レビュー(評価別) > ★★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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