★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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プライベート・ソルジャー

 ジョン・アーヴィン監督による、渋い雰囲気の戦争映画。油断していましたが、よく出来たドラマに感動してしまいました。思い入れが強すぎて本質を見失ったり、プロパガンダと化している大作映画より現実的で、何より映画として楽しめます。

 戦争をただのシチュエーションに留め、その中でもがく普通の人々を描きながら嫌みがないのに好感が持てました。戦場描写や兵器描写は割と少ないんですが、確実にツボをついてきます。肝心の戦闘シーンも地味で、全体に物寂しい展開と、ビジュアル的に全く売りどころがありません。そもそも選んだ題材が二次大戦終了間際、ヒュルトゲンの森での第28歩兵師団の激戦、という時点でマニア向け。
 でもそういった知識がない人でも、充分楽しめるのではないかと。伏線の張り方と人物描写のさりげなさで、かなり感情移入してしまいました。確実な脚本と演出があれば、ここまで映画の質が上がるという良い見本。もちろん、知識がある人にはもっと楽しめる映画です。

 邦題は「プライベート・ライアン」にあやかったものでしょうが、これは全く性格の違う作品でした。こういう戦争映画もアリだなあ、と。他人に勧めたい佳作。

監督:ジョン・アーヴィン
出演:ロン・エルダード、ザック・オース、ティモシー・オリファント、フランク・ホエーリー
20051003 | レビュー(評価別) > ★★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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