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ゾンビ

 ジョージ・A・ロメロ監督が『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』に続いて撮り上げた、ゾンビもの映画の傑作。“ゾンビ=おぼつかない足取りで人を襲う生ける屍”という概念を世界中に植え付けた、まさに記念碑的な作品です。

 ショッピングモールの中で繰り広げられる終末感たっぷりのサバイバル生活は、それだけでも十分魅力的ですが、そこに“ゾンビ”という存在を放り込むことで類い希な魅力を持った物語に昇華させています。死者と生者の対比、生き残った人間同士の精神戦など、その後のゾンビ映画に共通する要素は、この映画の時点で既に完成されていたと言っても過言ではないでしょう。
 また、容赦のないスプラッタ描写もこの映画の魅力の一つ。ハイビジョンで観るとさすがに粗が目立ちますが、内臓を引きずり出し、頭をかち割り、手足をもぎ取るといった直接的な演出は、初めて観たときはとてもショックでした。これらをショッピングモールという日常的な閉鎖空間で描いたことも、強烈なリアリズムを感じさせる一因になっています。

 この映画以降“ゾンビ”という言葉が一気に普及したという事実が、この映画の完成度を如実に表しています。この作品を越えるゾンビもの映画というものに僕はまだ出会えていません。古い映画ですが、ホラー映画が好きなら必見の作品です。

監督:ジョージ・A・ロメロ
出演:デヴィッド・エムゲ、ケン・フォリー、スコット・H・ライニガー、ゲイラン・ロス
20110517 | レビュー(評価別) > ★★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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