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トゥモロー・ワールド

 P・D・ジェイムズによるSF小説「人類の子供たち」を、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のアルフォンソ・キュアロン監督が映画化。盛り上がりに欠ける内容ではありますが、映像的にはとても興味深い仕上がりになっています。

 世紀末SFらしい、ロードムービーと人類の存亡を組み合わせた展開ですが、テーマにもう一つ共感を覚えませんでした。もしくは、提示されるテーマが映画として楽しむには重すぎたのかも。主人公の感情描写が希薄なので、観客としてどう反応すればいいのか迷う点もその一因です。
 一方で映像表現は目を見張るものがあります。特に幾度かある長回しのカットは、CGを使ったとしてもどうやって撮影されたのか分からないほどの完成度。終末感の色濃い荒廃した街並みも手を抜いていない、なんともリッチな映像だったので、その魅力だけで最後まで楽しめました。

 キュアロン作品は映像と物語が乖離している印象がありますが、特にこの映画はその傾向が顕著に出てしまいました。ハードSF自体の取っつきにくさもあります。ただ、それを前提に観るのであれば、最後まで楽しめる作品かもしれません。

監督:アルフォンソ・キュアロン
原作:P・D・ジェイムズ
出演:クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン、クレア=ホープ・アシティ、キウェテル・イジョフォー、チャーリー・ハナム
20110425 | レビュー(評価別) > ★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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