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エターナル・サンシャイン

 「ヒューマンネイチュア」のミシェル・ゴンドリー監督が原案から関わった、ちょっとSF風味の恋愛ドラマ。相変わらず達者なチャーリー・カウフマンの脚本が鼻につきますが、心に響くドラマは必見。

 もともとゴンドリー監督が長編デビューにと温めていた企画で、監督のファンタジックな側面が存分に発揮された物語には唸らされました。SFという題材をとりつつも、人間性を鋭く掘り下げた考察には色々と考えさせられます。それだけに、中盤から入り込んでくる余計なドラマが作品の力強さを損なっていて残念でした。
 ホワイト・ストライプスのMVなどでお馴染みのローテク合成がこの映画でも随所に使われていて、前作では見られなかったゴンドリー監督の映像世界が堪能できるのはファンとして嬉しいところ。あと俳優も良い! 久々に素朴な演技のジム・キャリーはなかなか色男に見えますし、キルステン・ダンストやイライジャ・ウッドなど大作映画で特定のイメージができてしまった俳優の珍しい役柄も楽しめました。もちろん、ケイト・ウィンスレットは今回も余裕の演技で魅せてくれます。

 細かいエピソードはいちいち頷けますし、主人公の話をクローズ・アップしていれば集中できたんでしょうが、どこかに“逃げ”の感じられる微妙な完成度が残念。単純な恋愛映画では終わらない題材だけに、正々堂々と撮り上げてほしかったなあ、と。

監督:ミシェル・ゴンドリー
出演:ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、キルステン・ダンスト、マーク・ラファロ、イライジャ・ウッド、トム・ウィルキンソン
20060513 | レビュー(評価別) > ★★★ | comments (4) | trackbacks (0)
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Comments

俳優がみんな良かったというのは賛成ですね。特にジム・キャリーは「こんなに男前だったっけ?エース・ベンチュラでしょ、この人」と思ってしまいました。
ホワイト・ストライプスのMVなどでお馴染みのローテク合成・・・これってなんですか?機会があったら説明してください。
チュチュ姫 :: 20060516 4:15
「マスク」のキャリーはなかなか男前の片鱗が見られますよ〜。ぶっ飛んだ演技が前に出ているので目立たないんですが、最初はコメディアンと知らなくて「二枚目俳優なのに凄い演技するなあ」と思ってました。

あとあと、この監督のローテク合成は割と有名なんですよ。子供時代の記憶のシーンでジム・キャリーが小さくなるところとか、実は目の錯覚を利用して、半分ぐらいCGナシで撮ってます。うひー。

もともとこの監督はこういう手法が好きで、特にホワイト・ストライプスのMVで色々やっているんです。"The Denial Twist" の伸びたり縮んだりする効果とか、"Dead Leaves And The Dirty Ground" の壁に映り込む過去の映像みたいなのが、この作品に通じるのでは。
あと "Fell in Love With a Girl" レゴ・アニメとか、"Hardest Button To Button" のどんどん増えていくバンド機材みたいな、コマ撮りアニメでもいちいちアイデアがあるし…。
kentaro :: 20060521 18:00
へー、あの子供のシーンは目の錯覚?!
なんか妙に気持ち悪かったのは憶えてますが・・・・だって本当の子供って、身体に対して頭がでかいのに、ジム・キャリーは全て大人のプロポーションのまま小さくなっているから、不気味でした!
チュチュ姫 :: 20060521 21:18
ただパジャマ着せただけ小さくしただけ、という割り切り方は不思議なビジュアルですよね。この監督さんの、こういうセンスが好きなんです。

目の錯覚の方は……似たような映像を見たことないですか? もう一度この映画を見る機会があったら、ぜひ気にしてみて下さい。合成じゃなくて、そういう特殊なセットを組んでるだけなのです。
kentaro :: 20060522 18:00

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