犬神家の一族
角川書店の映画進出第一作目。市川監督の独特のタッチが見事であり、探偵金田一耕助のキャラクタも人気を博すなどしてヒットを記録したミステリの秀作。
横溝正史原作の金田一耕助シリーズは、日本ならではの因習とドロドロとした人間関係が魅力で、犯人当てよりドラマとしての面白さが強いのですが、市川監督はそこに可能な限りエキセントリックな演出を施し、キャラクターも分かり易く造形することで映画向きに仕立て上げています。76年の映画とは思えないほどキレのある編集や、後に数々の模倣を生み出す極太明朝体によるタイポグラフィなど、映画らしい手応えのある映像がとにかく見事。大野雄二の伸びのある音楽も手伝って、大衆性と作家性を兼ね備えた希有な作品になりました。
金田一を演じた石坂浩二を始め、出演陣もかなり豪華。高峰三枝子の熱演は、一度この映画を見た人なら忘れ難いものです。後にシリーズ常連となる加藤武、地井武男、大滝秀治、草笛光子、三木のり平などの演技も、それぞれにツボを心得ていて平坦なシーンも飽きさせません。あと個人的に好きな岸田今日子の演じたお琴の先生が、やはり抜群の存在感で凄いと思いました。
最初に観たときは、ここまでエネルギッシュな作品が日本にも作れることに驚かされました。傍観者としての探偵に歯がゆさを覚える人には向きませんが、ともかく記憶に残る作品なのは確かでしょう。日本映画史に残るミステリとして、未見の方はぜひ。
監督:市川崑
原作:横溝正史
出演:石坂浩二、高峰三枝子、三条美紀、草笛光子、あおい輝彦、島田陽子、地井武男、加藤武、大滝秀治、三木のり平、坂口良子、岸田今日子、角川春樹、横溝正史、三国連太郎
横溝正史原作の金田一耕助シリーズは、日本ならではの因習とドロドロとした人間関係が魅力で、犯人当てよりドラマとしての面白さが強いのですが、市川監督はそこに可能な限りエキセントリックな演出を施し、キャラクターも分かり易く造形することで映画向きに仕立て上げています。76年の映画とは思えないほどキレのある編集や、後に数々の模倣を生み出す極太明朝体によるタイポグラフィなど、映画らしい手応えのある映像がとにかく見事。大野雄二の伸びのある音楽も手伝って、大衆性と作家性を兼ね備えた希有な作品になりました。
金田一を演じた石坂浩二を始め、出演陣もかなり豪華。高峰三枝子の熱演は、一度この映画を見た人なら忘れ難いものです。後にシリーズ常連となる加藤武、地井武男、大滝秀治、草笛光子、三木のり平などの演技も、それぞれにツボを心得ていて平坦なシーンも飽きさせません。あと個人的に好きな岸田今日子の演じたお琴の先生が、やはり抜群の存在感で凄いと思いました。
最初に観たときは、ここまでエネルギッシュな作品が日本にも作れることに驚かされました。傍観者としての探偵に歯がゆさを覚える人には向きませんが、ともかく記憶に残る作品なのは確かでしょう。日本映画史に残るミステリとして、未見の方はぜひ。
監督:市川崑
原作:横溝正史
出演:石坂浩二、高峰三枝子、三条美紀、草笛光子、あおい輝彦、島田陽子、地井武男、加藤武、大滝秀治、三木のり平、坂口良子、岸田今日子、角川春樹、横溝正史、三国連太郎
Comments
これ、うちのかあちゃんが大好きで!小さい頃に見させられてうなされましたが、しかし金田一の小説ってはまるんですよね。大きくなってから、テメーがハマッてしまいました。
金田一の小説は、実は学生時代に少しかじっただけであまり読んでいないのです。読まなくては……。