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ゴッホ

 画家ゴッホの死の瞬間までを描き出した、ロバート・アルトマン監督による評伝映画。誇張はあるものの、生の人間としてのゴッホを感じられる作品です。

 ゴッホの弟ヴィンセントの視点を交えて描かれる物語からは、”狂気の画家ゴッホ”をあくまで理性的に捉えようという信念が感じられます。ゴッホ芸術の基礎となったオランダの自然がひたすら美しく、また当時の絵画界をかいま見られる数々のエピソードも説得力がありました。
 そして、ゴッホを演じたティム・ロスの演技がとにかく凄い。クセモノ俳優としての本領発揮で、カーク・ダグラス版よりよほどゴッホらしい風格があります。ただ、かえって狂気を強調しすぎた観も。現代の芸術家像である「芸術家=尋常でない人」という図式の走りでもあるんでしょうが、この作品では多少やり過ぎだったような。

 何はともあれ、ゴッホ映画の決定版と言える内容だと思います。ちなみに、ビデオタイトルは「ゴッホ/謎の生涯」。どこが謎なのかは不明。しかも原題は「ヴィンセント&テオ」。どうせサブタイトルを付けるなら、そっち方面で考えて欲しかった…。

監督:ロバート・アルトマン
出演:ティム・ロス、ポール・リス、アドリアン・ブリン、ハンス・ケスティング、ジャン=ピエール・カッセル
20060316 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -
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