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サバイビング・ピカソ

 ジェームズ・アイヴォリー監督による、パブロ・ピカソの評伝映画。非常に良い内容に仕上がっているんですが、ピカソだったかというと疑問。
 現代における芸術家のステレオタイプそのもの(女好き、天才的、気まぐれ、高いカリスマ性などなど)であるピカソを映画化するにあたって、アイヴォリー監督は物語を上品にまとめました。それも良いんですが、やはりピカソという題材を考えると物足りなさが残ります。何よりアンソニー・ホプキンスのピカソが落ち着きすぎで、ただの色男にしか見えません。逆にピカソを取り巻く女性たちの方が生き生きしていると思えるほどです。ピカソの芸術観が本筋ではないものの、彼にとっては女性遍歴がそのまま芸術性と結びついている側面もあるので、女性観のみに絞って描かれるとどうしても片手落ちという印象が拭えません。

 フランソワーズを演じたナターシャ・マケルホーンが、飛び抜けて魅力的。役柄もありますが、凛とした女性という言葉が似合います。ピカソをかじったことがある人なら思わず喜びそうな再現シーンもいくつかあるので、興味がある人は是非。

監督:ジェームズ・アイヴォリー
出演:アンソニー・ホプキンス、ナターシャ・マケルホーン、ジュリアン・ムーア
20060315 | レビュー(評価別) > ★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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