★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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エピデミック〜伝染病

 モノクロ・ハンディカメラで撮られた実験色の強い作品。トリアー監督をはじめ、実在の人物が多数「本人」として登場し、現実と空想の境目が不明瞭な中で物語が展開します。映画としてはひどく退屈かも知れませんが、相変わらず不快感をかき立てる映像など、トリアー監督らしい力強さのある作品でした。

 あまり真面目に語るとかえって馬鹿馬鹿しくなりますが、トリアー監督作の中では珍しく遊び心のある、ある意味で「楽しい」作品です。物語の中で蔓延する伝染病は、そのまま観客に対するあからさまな攻撃であり、ラストの唐突さと相まって非常にユニークな印象を持ちました。映画という表現方法を一から構築し直そうとする、トリアー監督の試行錯誤の結果なのかもしれません。
 個人的にはトリアー監督とニルス・ヴァセル(脚本家)の「プロット制作過程」が面白かった、というか非常に参考になりました。トリアー監督の奇人変人ぶりも良い。こういう映画を撮っちゃうあたりに、この監督のイマジネーションの源泉を見たような気がします。

監督:ラース・フォン・トリアー
出演:ラース・フォン・トリアー、ニルス・ヴァセル、ウド・キアー
20051120 | レビュー(評価別) > ★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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