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フィフス・エレメント

 『レオン』でハリウッドでも認められたリュック・ベッソンが、16歳のころからの構想を映画化したスペース・オペラ。公開当初はリュック・ベッソンの正気を疑いましたが、改めて観るとまた別の趣のある作品です。

 エンキ・ビラル作品でお馴染みのバンド・デシネ風SF世界を、壮大なスケールで描いた映像は圧巻。ジャン=ポール・ゴルチエの衣装に身を包んだ主人公たちが宇宙を股にかけて活躍する様は、少年が夢想するヒーロー像そのものです。ただ、あまりに現実離れした世界が矢継ぎ早に展開されるため、じっくり楽しむことができません。特に終盤の展開は無理矢理すぎて、疑問符ばかり残りました。
 映画オリジナルの言語まで習得したミラ・ジョヴォヴィッチは、映画の世界観にピッタリの存在感。ゲイリー・オールドマンやクリス・タッカーといった脇役も強烈な印象を残します。一方ブルース・ウィリスの汗くさい活躍だけが浮いていて残念。ベッソン作品常連のエリック・セラによる音楽も良くできていて、サウンドトラックだけでも買う価値はあります。

 盛り込みすぎというよりは、あまりに壮大な世界観を一本の映画に押し込めるためあちこち省略してしまった結果、破綻しているように見えました。一つ一つの要素は良いので、もう少し話の流れを考えてくれたら初見から楽しめたのかもしれません。

監督:リュック・ベッソン
出演:ブルース・ウィリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ゲイリー・オールドマン、イアン・ホルム、クリス・タッカー
20110602 | レビュー(評価別) > ★★ | - | -
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