★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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千と千尋の神隠し

 宮崎駿監督による長編アニメ。画面いっぱいにお伽話の世界が展開されるものの、心の底から楽しめるわけではない、微妙な作品でした。

 ファンタジーとしてのギミックはそれぞれ面白い。純和風のアニミズム的神話世界を背景に、次々飛び出す異様なキャラクターはどれも愛嬌があって笑わせてくれます。ただ、その個々のキャラクターから監督の主張が滲み出ているのに気を取られて、物語に入り込めませんでした。実写のように余計なノイズが混ざる場合は構わないんでしょうが、アニメのしかも長編でやられると遊びが無くて疲れるだけ。テーマが伝わってくるかどうかより、それが映画を面白くしているかどうか大事だと思うので、この作品に関してはやっぱり「つまらない」の一言で片付けたいと思います。
 今作から本格導入されたデジタルペイントは、ムラが無いせいで深みもありません。背景美術も、男鹿和雄が手がけた冒頭と最後のパート以外は、どうしても見劣りがします。でも声は良かった。特に湯婆婆役の夏木マリは貫禄です。

 どうも、近年の宮崎アニメは子供ではなく「子供を連れて観に来ている親(監督にとっては“子供”世代)」を相手にしているようで、その辺がクドクドした語り口の原因なのでは。小言はなるべく堪えて小出しにしないと、伝わるものも伝わりません。

監督:宮崎駿
出演:柊瑠美、入野自由、夏木マリ、内藤剛志、沢口靖子、上條恒彦、小野武彦、我修院達也、菅原文太、神木隆之介
20060410 | レビュー(評価別) > ★ | comments (0) | trackbacks (0)
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