★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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テルミン

 デジタル音源の黎明期に発明され、ホラーやSFといった映画に使われた楽器「テルミン」と、その製作者レフ・セルゲイヴィッチ・テルミン博士を巡るドキュメンタリー。歴史の彼方に忘れ去られようとしていたテルミンを再発見した、貴重な作品です。
 テルミンの音楽性や技術的な話題に終始すると思っていたら、発明者であるテルミン博士の人生の足跡をたどるような内容でした。しかもその博士のたどった人生というのが実に奇妙。ハリウッドで人気を博したと思ったら、スターリンの粛正に巻き込まれ……といった事実を、資料と調査であぶりだしていく丁寧な手法は、ドキュメンタリーとして良くできています。何より半世紀以上の時を経て、再び見いだされた人々と楽器の”再開”には感動させられました。

 世界初の電子楽器テルミンについて、少しでも興味のある方は必見。自らが作り出した楽器と同様、非常に数奇な運命をたどったテルミン博士の人生は、それ自体がファンタジーで驚かされました。なお博士自身は、まるでこの映画が作られるのを待っていたかのように、映画の完成直後に亡くなられています。合掌。

監督:スティーヴン・M・マーティン
出演:レオン・テルミン、ブライアン・ウィルソン、トッド・ラングレン
公式サイト
20060309 | レビュー(評価別) > ★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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