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ゴーストワールド

 ダニエル・クロウズの人気コミックを、「クラム」のテリー・ツワイゴフ監督で映画化。「ダメに生きる」というキャッチコピーからして僕のツボに響きまくりで、とても印象的な青春映画でした。

 主人公の、達観しているのかただの幼さなのか判別の付きにくい行動が、現代的でとても共感出来ます。登場人物の性格設定があまりにバラバラなのも妙にリアル。みんなどこかに実在していそうで、誰もが主役になりうるだけの重さがありました。しかし映画では、主人公イーニドの純粋で妥協しない性格に代表される”他人との距離”に絞ってエピソードが積み重ねられていて、そのさりげなさが絶妙でした。寓話的なラストも、作品のムードに合っています。
 とにかく、社会に出なきゃいけないのに、自分と社会との大きな溝を克服出来ずに悩んでしまう、その心境を痛々しいまでに描写していて、身につまされました。社会に溢れる「普通」という考え方を、子供の頃は嫌悪していたのに、どうしてそれに迎合してしまうんだろう、という問題提起があまりに切実。青いって良いなあ。

 主演のソーラ・バーチとスティーヴ・ブシェミの掛け合いが、楽しいのにもの悲しい。これぞまさにミニシアター系の醍醐味です。青春は美化されがちだけど、要するにアレはガキがはしゃいでるだけで、そのまま年だけ取るからバカな大人が増えるのよ(自分も含めて)、という映画です。そんなわけで、バカな大人必見。

監督:テリー・ツワイゴフ
原作:ダニエル・クロウズ
出演:ソーラ・バーチ、スカーレット・ヨハンセン、スティーヴ・ブシェミ、ブラッド・レンフロ
20060303 | レビュー(評価別) > ★★★ | comments (0) | trackbacks (1)
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