★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
詳細な評価基準についてはこちら

漂流街 THE HAZARD CITY

 馳星周のバイオレンス小説を、日本映画界で最もパワフルな作風を誇る三池崇史監督で映画化した問題作。ブッ飛んだアレンジは流石ですが、ちょっと暴走しすぎかも。
 まず、どうみても国内には見えない(おそらくテキサス州あたりの)荒野を「埼玉県与野市」と言い切る勢いの良さに冒頭から笑わされました。それが本気なのか冗談なのか判断するヒマもなく、その後もマトリックス風の闘鶏や殺人卓球と、およそ平凡とはかけ離れた、しかも原作にない要素を絡めまくり。というか原作と大枠で同じ話なのに、ここまで印象が違うというのに驚かされました。それでも新宿歌舞伎町を中心としたトーキョーの混沌っぷりを、誇張しつつも実感たっぷりに描写しているあたりは三池監督のセンスを感じずにはいられないんですが、でも映画としては破綻しすぎかなあ、と。少なくとも、原作のようにシリアスなバイオレンスを期待すると大変なことになります。

 俳優では、チャイニーズ・マフィアのボスを演じた及川光博がピカイチ。とても日本人には見えません。吉川晃司もさすがの色気でした。そのあたりの遊び心を楽しみつつ、とんでもない展開にゲラゲラ笑える骨の髄からの三池ファンなら、観る価値はあると思います。

監督:三池崇史
原作:馳星周
出演:THEA、ミッシェル・リー、及川光博、吉川晃司、柄本明、テレンス・イン、野村祐人、麿赤兒
20060220 | レビュー(評価別) > ★ | comments (0) | trackbacks (0)
<< アカルイミライ :: main :: ホワイトアウト >>

Comments

Comment Form

Trackbacks