★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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アカルイミライ

 黒沢清監督・脚本による、真摯なテーマを孕んだドラマ作品。共感を持てる人には面白いんでしょうが、僕はこの映画のテーマには全く共感出来ませんでした。

 主人公・仁村の無目的ぶりが、まずダメ。自分を制御出来ない、しかもそれに不満を覚えつつ何もしない人間には興味がないので、彼がどんなに右往左往しても全く心に響きません。クラゲの存在も、無駄にファンタジーで軽薄に感じましたし、イギリス映画みたいな、彩度が低く粒子の粗い映像もイマイチでした。安直に解決させないのは評価しますが、それにしてもラストのシークエンスは不要。もしくは、そのシークエンスだけで映画のテーマは表現できていたと思います。
 現実と向き合えない現代の若者がテーマなのでしょうが、その弱さなどに共感出来ない、敷かれたレールを踏み外すのに慣れている人間には全く価値が分からない映画だと思います。こういう映画が出てきてしまう事自体、日本がまだ文化的に成熟していない証拠ではないか、と考えたり。早熟かつ未熟な、東京らしい映画とも言えます。

 浅野忠信演じる有田のキャラクターは良い。こういう人には「ついていきたい!」と思えます。北村道子の衣装も相変わらず良かった。でも、それ以外には見るものはなかったなあ、と。オダギリジョーが好きな人は、割と共感出来るかもしれませんが。

監督:黒沢清
出演:オダギリジョー、浅野忠信、藤竜也、りょう、はなわ
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20060219 | レビュー(評価別) > ★ | comments (0) | trackbacks (0)
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