フロム・ヘル

魅力的な主人公を作り上げておきながら彼の内面に迫ることはせず、ロンドンの暗いセットや事件自体は重厚に再現しつつもカメラワークは派手で……結果、フィクションにもノン・フィクションにもなりきれていません。娼婦達には切実さが欠けていて、階級制度や貧富の差などの社会情勢も真に迫って来ません。犯人もすぐ分かってしまうし……。元がグラフィック・ノベルなのでこの軽さは仕方がないのかもしれませんが、サイコホラーにもヒーローものにもなることのできた題材だけに残念。
でも、一番残念だったのは”切り裂きジャック”の正体かも。いや、期待しちゃいけない方向なのは分かってるんですが…。
はっとするような画面効果が所々に使われていて、そこは目を惹きました。願わくば、映画全体に同じレベルで気を利かせて欲しかった。残酷描写に対する積極性も好感が持てます。それに、ジョニー・デップが魅力的でした。こんな映画でも彼を観ていれば楽しめるというのは強みでしょう。

監督:アルバート・ヒューズ、アレン・ヒューズ
原作:アラン・ムーア、エディ・キャンベル
出演:ジョニー・デップ、ヘザー・グレアム、ロビー・コルトレーン、ジェイソン・フレミング、イアン・ホルム

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