★★★★で満点、ネタバレは原則ありません。
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スリー・キングス

 ハリウッドの方程式から逸脱した作りが見事な異色戦争ドラマ。金塊を巡るブラックコメディかと思って観ていると、中盤から戦争映画としての本性を現し始めます。現地人を無視するアメリカ人の薄情さとか、正規軍とゲリラの入り乱れる戦況がさりげなく描かれていて、シュールな中にも説得力がありました。

 湾岸戦争当時の混沌とした状況を半ばデフォルメして描いているのが新鮮。現地人の困惑や窮状を巧みに物語に組み込みながら、それを前面に出さずに物語に徹しているところに好感を持ちました。
 最初はコントラストが強すぎると思った画面も、時間が経つにつれて、それが砂漠を撮影する上で最適だと思えるようになるから不思議。割と渋めながら人気のあるジョージ・クルーニーとマーク・ウォルバーグを主演に据え、脇にアイス・キューブとスパイク・ジョーンズを持って来るという、堅実なのか賭けに出てるのか分からない配役も、画面で見れば上手くはまっていました。

 デヴィッド・O・ラッセル監督は脚本もこなす人物で、この作品も一人で脚本を書いています。中途半端な政治メッセージがうるさい、という方もいると思いますが、僕はその「お粗末な政治の存在」が介入者としてのアメリカの立ち位置を上手く皮肉っている、と感じました。

監督:デヴィッド・O・ラッセル
出演:ジョージ・クルーニー、マーク・ウォルバーグ、アイス・キューブ、スパイク・ジョーンズ
20051005 | レビュー(評価別) > ★★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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