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12人の優しい日本人

 シドニー・ルメット監督の「十二人の怒れる男」をモチーフにした東京サンシャインボーイズの舞台劇を、中原俊監督で映画化。登場人物の日本人らしい葛藤に、腹がよじれるほど笑える傑作コメディです。
 ”もしも日本に陪審員制度制度があったら”というアイデア自体が秀逸ですが、それをここまで論理的に組み上げた三谷幸喜の脚本センスは凄い。役者の演技も際立っていて、116分という上映時間の中に無駄な間が全く無いことに驚かされます。しかも、繰り広げられる議論がことごとく日本人的で、自分の意見がなかったり結論を先延ばしにしたりと、法廷劇の常識をことごとく覆すトリッキーさは爆笑もの。落語のようにきっちり落とすラストといい、非の打ち所のない内容です。

 俳優では、誰を差し置いても相島一之のしつこい演技が印象的でした。当時まだ無名だった豊川悦司の飄々とした佇まいも必見。でも、それ以外の役者も全員が個性的で、”日本人”の博覧会のような趣の映画でした。地味な映画ですが、コメディ好きにはお薦めの一本。

監督:中原俊
出演:相島一之、塩見三省、上田耕一、二瓶鮫一、中村まり子、大河内浩、梶原善、山下容莉枝、村松克己、林美智子、加藤善博、豊川悦司
20060228 | レビュー(評価別) > ★★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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