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ピンポン

 曽利文彦監督による、松本大洋の同名コミックの映画化作品。ストレートなスポ根もので、それだけに単純で楽しめる映画に仕上がっています。

 曽利監督はCG畑出身の方だそうですが、専門分野をあえて前面に出さない題材選びが大正解。もともと原作自体、松本大洋の芸術性をスポ根の隠れ蓑に包んでいたおかげで大衆性を獲得していたので、そういう意味では漫画も映画も同じ方向性と言えるのでは。ほぼ原作通りながら、ところどころ映画独自の演出をからめた脚本も効果的でした。
 窪塚洋介のキャスティングには半信半疑でしたが、観てみればそれほど違和感はありません。ARATAも、ちょっと格好良すぎるけどそれはそれで。中村獅童と大倉孝二は原作と互角。竹中直人と夏木マリはお遊びの観はありますが、原作のイメージはきっちり引き継いでいます。原作未読者にも希求できる明快なキャラクター分けと物語が健在なので、映画単体でも楽しめる、良質なエンタテイメントに仕上がったのでしょう。

 突き抜けた面白さではないんですが、このところ誰でも楽しめる日本映画が少ないので、分かりやすい映画は大歓迎。こういう嫌味のない日本映画がもっと増えてほしいなー、と。あとは、原作に頼らないオリジナルの企画がほしいところですね。映画にすると、どうしても原作の内容が薄まってしまうので…。

監督:曽利文彦
原作:松本大洋
出演:窪塚洋介、ARATA、中村獅童、サム・リー、大倉孝二、夏木マリ、竹中直人
20060212 | レビュー(評価別) > ★★ | comments (0) | trackbacks (0)
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