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スリング・ブレイド

 ビリー・ボブ・ソーントンが監督・脚本・主演の三役を務め、その名を一躍ハリウッドに知らしめた秀作。寓話的な物語なのに、不思議と説教臭さはありません。

 主人公カールは知的障害者という設定ですが、非常に軽度で普通に会話もでき、彼の発言がときに真実を言い当てているというのが良い。言ってしまえば典型的な”聖なる愚者”なんですが、殺人というファクターが、その古くさいテーマにリアリティを持たせ、単純なお涙頂戴モノで終わらせていません。
 俳優では、とにかくビリー・ボブ・ソーントンの存在感が圧倒的。少年役のルーカス・ブラックも達観した演技が似合っています。ソーントンの友人ばかりで固めたという脇役陣も、それぞれに良い演技で違和感ありませんでした。

 DVD特典でカールというキャラクターが生まれた理由が語られていますが、それがなかなか見応えがありました。あくまで創作のためではなく、自然にソーントン自身の中から発生した人格なので、物語にも説得力が生まれるのでしょう。泣ける映画ではありませんが、心に残る作品でした。

監督:ビリー・ボブ・ソーントン
出演:ビリー・ボブ・ソーントン、ルーカス・ブラック、ドワイト・ヨアカム、J・T・ウォルシュ、ジョン・リッター、ロバート・デュヴァル
20060201 | レビュー(評価別) > ★★★ | - | -
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